Toho Village Cafe / Agricultural processing facility
東峰村 里山カフェ・農産加工所
Site
Fukuoka
Toho Village Cafe / Agricultural processing facility
東峰村 里山カフェ・農産加工所
Site
Fukuoka
Data
2020
Photo
(c) Seinosuke Kaneda
(c) Yousuke Harigane
福岡県東峰村の竹地区には、標高280〜420mの標高差160mの急斜面と、約11haの中に約400枚の棚田と24戸の集落が広がっている。山間地を農地として利用するために切り拓かれた棚田はその美しさから、1999年には農林水産省の「日本棚田百選」に認定されている。近年、竹集落では高齢化により棚田や景観の保全が課題となっているなか、2017年には九州北部豪雨での被害を受けるが、2019年には地元住民が中心となって、復興へ向け棚田の景観を守り次世代に残していくための一般社団法人竹棚田が発足。本計画はその動きと連動するように交流拠点施設整備を目的に東峰村が公募した農家レストラン新築工事設計コンペにおいて選定されたプロジェクトである。東峰村は同時期に近隣の古民家を再生しゲストハウスとしたヴィラや、岩屋キャンプ場のトイレ改修 ・森のコテー ジの改修等を行なっており、交流人口の増加を促す中心拠点となる。
本計画の北側には、集落で最も古い農家の母屋があり、通称缶詰屋根と言われる茅葺き屋根にトタンを被せた寄せ棟造りの伝統的な家屋である。国定公園であり、風光明媚な風景であるため、景観にいかに配慮するかが本計画の大きなテーマの一つである。造形的には伝統的な家屋のプロポーションをある程度踏襲しながら1つのボリュームを2つにカットしてそれぞれをレストランと農産加工所としたハの字状の配置とすることで、棚田を見下ろす風景に視線が抜けるような構成としている。
2つのボリューム間には棚田の石垣の高低差を接続した大階段を設け、駐車場からのアプローチとするとともに、火祭りや田植え体験などのイベント時には人びとの集まる休憩の場となるだろう。2つのボリュームによって棚田の美しい風景がフレーミングされながら、大階段が斜面下部に向かってハの字状の逆パースに拡がっていることで、さらに臨場感のある風景が生まれている。
敷地周辺景観に調和しつつも容易にそれと分かる印象的な造形によって、豊かな地域資源や人びとと繋がる棚田のなかの交流のハブを創出している。
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