Mt. Ontake visiter center
御嶽山ビジターセンター やまテラス王滝・さとテラス三岳

Site
Nagano

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御嶽山ビジターセンター やまテラス王滝・さとテラス三岳

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Nagano

Data

2022

Photo

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Award

長野県・木曽町「御嶽山ビジターセンター(仮称)整備事業」公募型プロポーザル 最優秀賞選定

Press

新建築2022年10月号(新建築社)

本計画は2014年9月の御嶽山噴火災害からの復興と地域の活性化に向け、長野県が御岳県立公園内の御嶽山登山口・田の原(山エリア/標高2,180m)に、木曽町が麓の「道の駅三岳」隣接地(里エリア/標高742m)にそれぞれに整備するもので、2020年7月に長野県と木曽町が合同で公募したプロポーザルにおいて選定されたプロジェクトである。発注者の異なる2つの施設を同時に設計するという類のないプロポーザルで、山エリア・里エリアいずれも主な外壁を溶岩混じりの地域の岩石を詰めた〈蛇籠〉とし、周辺の景観と調和しつつ来訪者への視認性の高い〈赤い屋根〉の建築とすることで、離れた敷地の2施設が連携しつつ、それぞれの場所に応じた異なった風景をつくり出している。
山エリアの〈やまテラス王滝〉は、敷地前に聳える御嶽山(標高3,067m)の雄大な山並みを背景に、斜め棟の長く伸びやかな屋根をかけることで山のスケールに呼応した風景をつくっている。稜線の旧古道を想起させる軸線上にある大階段は御嶽山の印象的な風景をフレーミングするとともに、御嶽山へのゲートとなる。その場所とつながる展示計画となるよう、囲まれた展示物に集中できる「学ぶ」展示室と、外壁側上部の欄間から見える御嶽山やガラス越しに〈蛇籠〉を眺めながら「考える」展示スペースを組み合わせている。万が一の御嶽山からの噴石対策として、地域産材のヒノキ・カラマツの屋根架構と箱状の鉄筋コンクリート造の展示室による、より安全性の高い二重屋根のシェルターとなっている。敷地周辺は冬期にはスキー場となり、想定積雪量2.4mと建物が雪に埋まる可能性があるため、噴石対策を兼ねて高さ2.5mの〈蛇籠〉としている。
 里エリアの〈さとテラス三岳〉は、敷地から見える木曽駒ヶ岳(標高2,956m)の山稜を背景に、隣接する「道の駅三岳」の切妻屋根に呼応するような台形棟の屋根をかけることで一体感のある風景をつくっている。全体的に架構は地域産材のヒノキ・カラマツとしている。大階段は台形トラスの架構により極力柱を落とさず、王滝川と木曽駒ヶ岳の印象的な風景をフレーミングする半屋外空間を生み出している。
 設計期間を通じて常に念頭にあったのは、吉阪隆正氏設計の赤い屋根と蛇籠の〈涸沢ヒュッテ〉(1963年)である。雪崩被害を最小限に抑えるようにつくられた蛇籠と赤い屋根が印象的で、厳しい自然環境に立地する山小屋は、厳しいが故に装飾が排除され、空間の素形が必然的な姿として立ち現われているものが多い。そうした質実剛健なつくりの中に美しさがあり、厳しい自然と対峙することで立ち現われる建築の強さの創出を目指した。